これは見事なバディムービーです。
本来バディムービーとかバディフィルムってのは
“男の子ふたりで悪いやつらをヤッツケロ”的な映画のことであって
たとえば『スティング』だし『48時間』だし『リーサル・ウェポン』だし『マイアミ・バイス』なのです。
映画『グラン・トリノ』は
妻に先立たれ、一人暮らしの頑固な老人ウォルト。
人に心を許さず、無礼な若者たちを罵り、自宅の芝生に一歩でも侵入されれば、ライフルを突きつける。
そんな彼に、息子たちも寄り付こうとしない。学校にも行かず、仕事もなく、自分の進むべき道が分からない少年タオ。彼には手本となる父親がいない。
二人は隣同士だが、挨拶を交わすことすらなかった──
というようなあらすじの作品です。
正直に言いますよ。
それ以上でもそれ以下でもありません。
ふたりは仲良くなり、そして別れがくるのです。あ、言っちゃった。
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映画を生まれて初めて観るひとでも、「ふーん、映画っておもしろいんだね」という感想を抱くとおもいます。
他の作品と比べることができないひとにもやさしい。つまりはわかりやすい。それって素晴らしいことだとおもいます。
そもそも“グラン・トリノ”ってのはクルマの名前。フォード社で1972〜76年に生産されたフォード・トリノという車種を“グラン・トリノ”と呼ぶそうです。
こちらです。正面からは冒頭にあげたポスターの背景をご確認ください。
こいつがさ、ビッカビカでかっけーんだ。
なんでビッカビカかって? 化身だからだよ。ゆだねたいんだよ。
自分自身はどうでもいいが、後の時代に残すべきみずからの象徴は美しくあってほしいではないか。
だから今日も磨くのだよ。そしてポーチから眺め、ひとり悦に入るのだよ。
だから冒頭のバディうんぬんとは
爺さんと少年であり、爺さんとグラン・トリノであり、少年とグラン・トリノのこと、だとおもうのです。勝手に。
少年はモン族。
モン族という少数山岳民族が、なぜこの時代の米国で普通に生活しているのか、ホントに<町山さんのこの話>がためになります。
劇中でも“スー”がちらっと説明してくれているけれど、本当にちらっとだから、まず記憶に残らないです。
『グラン・トリノ』を観たひと、観ようとおもってるひと、モン族ってなによ、“スー”って英語圏でも通じる名前なのねってひとはぜひともご一覧。
ちなみに映画『ソーシャル・ネットワーク』で、エデュアルドの彼女(ハンカチ燃やす娘)を演じたブレンダ・ソング嬢はモン族出身です。
上記のもろもろを聞くと、いろいろと考えざるをえないよなあ。
一方からの見方をゼッタイのものにはしたくないけどね。
昨日さ、親父がさ、最近酔っ払うと怒りっぽくなるってったけどさ
クリント・イーストウッド、5月で81歳ですよ。おじいちゃんですよ。
ホント怒りっぽいし、人付き合いヘタクソだし、すぐ唸るし。
なんかさー、どんどん化けてほしいよね。
っつーわけで「親父ru1、イーストウッド化計画」発令です。
完結するかなあ。