知らないことは罪ではない。たかだか70年の人生で、得られる知識・経験などたかが知れている。手に入る情報の絶対量が技術的な進化によって加速度的に増え、情報から知恵への転換が難易度を高めた結果、質にこだわる取捨選択が大変難しくなっているという話をしているのはお盆気分のおれですか。そうですか。
そう、知らないことは罪ではないけれど、罪と不問のギリギリチョップこそ、人として生まれた以上最高のキワキワではないかと。善と悪との境目がもっとも興奮するポイントではなかろうかと。
たとえば、黒ずくめの人を見て、「うわあダース・ベイダーみたい」って言ったときに、「え? ダース……なに? だれそれねえねえ」って聞かれたら、引かないまでもこいつマジかと思います。
スターウォーズを一回も見たことがなくても、ダース・ベイダーってキャラクターの異質感みたいなものは知っておいていいじゃないですか、とおれは思うわけ。おれが思ってるだけだから、これ正解じゃないですから。
同じく「そんなの完全にトラビスじゃないですか」で話が通じる人がうれしいわけ。完全に話が通じなくてもいいし、「タクシードライバー」を観てなくてもいいんだけど、スコセッシが撮った映画の主人がある意味当時の若者のヒーロー的存在になった。ああ、それってモヒカンのデニーロな、ぐらいはわかってほしい。比喩表現として伝わる伝わらないとか、話が早ぇとか以前に、トラビスってのは知っておいていい人だと思うゆえに我あり。