「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが希望だけがない」
と言い切るのは中学生。
女子スケート選手のごとく“スーパー”という冠は付かないし、甲高い声でハリボテをいじくるお笑い芸人のごとく“もう”も付かない。
相当に賢くて、ちょっと冷めていて、世界を試してみた中学生たちのお話だ。
- 作者: 村上龍
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2000/07
- メディア: 単行本
- クリック: 94回
- この商品を含むブログ (65件) を見る
いわゆるベンチャーをもてはやすでも、世界経済を解説するでもない。ところどころそのケはありましたけども。
エクソダスとは「国外脱出」のことだ。もともとは『旧約聖書』に記されているイスラエル人のエジプト脱出を【exodus】と呼んだ。
最終的に中学生たちは北海道に移り住む。独自通貨を用い、エネルギーを創造し、自治体を、もはや国家を築く。
彼らは大人を試した。そこに勝ち負けという概念が存在するならば、彼らは勝った。
そこでほとんどの大人たちは目をつぶった。なぜか。相手が中学生だからだ。最後まで対等にあつかおうとはしなかった。
漠然とでOKだね。そういう本の条件とは、主人公と想定読者の理解力が近いことにあるのだろうと思いました。