221kgの海と空

221kgは世界中の海と空で生息中です。でっかい世界のちっさな地図収集家。

 『いじめられている君へ いじめている君へ いじめを見ている君へ』(朝日新聞社)

元祖なんだってさ、冷やし中華

完全版 いじめられている君へ いじめている君へ いじめを見ている君へ

完全版 いじめられている君へ いじめている君へ いじめを見ている君へ

いじめについての本を読んだ。朝日新聞の連載を単行本化したもので、当時から話題にあがっていたけど実際に読んだことはなく、興味はあった一冊。
あれです。先日の川崎の事件後に、さかなくんの言ってる話がふげえとか西原理恵子がいいこと言ってるとか、あれの単行本。
各界の著名人がお話してます。はるな愛安西水丸なんてホントいいこと言ってる。こどもにも伝えたい。
皆に共通しているのは「全力で逃げろ」ということ。ここでなくても生きていける。ここにいなきゃいけない理由が学校にはない。
なかにはこんなことを言ってる人もいた。2人ほどいた。ちょっと要約してみる。

「なぜ若い人はこの世の中に息苦しさを感じているのか。それは“つながり”や“絆”が重視させすぎているからである。過去、創造的な仕事をした人は孤独を抱えていた。人と違うからこそ独創性を生むことができる。だから孤独になったっていい。空気を読み、まわりに合わせる必要などない。人間関係は偶然の産物で、学級はあなたの意思とは無関係に作られている。気の合う仲間はきっと見つかるから、いまの級友との関係に思い悩むことなどひとつもない」(土井隆義社会人類学者)

「小学校時代にいじめられていたとき、僕には逃げ場があった。川や森に逃げ、一人で過ごした。そこで孤独の素晴らしさを知った。協調性ばかりが求められる世の中だけど、僕は孤独が大事だと思う。誰にも見られていないときこそ、本当の自分がいるんだ」(田中泯舞踊家

このところの“つながり・絆ブーム”に一種の気持ち悪さを感じている理由がわかりました。腑に落ちました。それと同時に、なぜ自分が旅好きなのかも。
わざわざ孤独を感じにいっているんでしょう。ここではないどこかから、自分を見つめなおしているのだと思います。結婚したからってこどもが2人いるからって一人旅をやめるつもりがないのは、一人でいる寂しさを味わいにいっているのだと思います。
顔を合わさずともコンタクトがとれ、家に遊びにいかなくてもこどもの成長が感じられる世の中、つながりや絆を求めるのは適度でいいと思ってます。ましてや自分で取りにいくつもりのなかった情報が勝手に飛び込んでくる世の中ですから、“意図せぬつながり”を半ば強制的に持たされている感が、それが僕はイヤなんです。
その感覚は、そこにいるとわからない。麻痺する。慣れる。
だから一歩引いてみて、呪縛から逃れ、あらためて自分や家族や近しい人たちのことを真剣に愛することができる。だから僕は旅が好きなんです。
「生きていれば、生きているだけでよかったと思える日が来る」とはるな愛は言います。本当に、そのとおりだと思います。
なんてことを石巻に向かうバスの中で考えていました。ちょうど新幹線で読み終えたもので。
生きたくても生きられなかった方々の無念が海を上がってきて、震災後の一時期、海沿いの大橋は夜の時間帯封鎖されてた、なんてことを聞かされても至極納得です。いまだに来られるそうです。