221kgの海と空

221kgは世界中の海と空で生息中です。でっかい世界のちっさな地図収集家。

 「おまえをそんなふうに育てたおぼえはない」

電車にのってぼんやりと考える。
ベビーカーにのった赤ちゃんと目をあわせながら、ぼんやりと考える。
「おまえをそんなふうに育てたおぼえはない」
息巻いて、湯気立てて、「まあまああなた落ち着いて」などと家人になだめられるようなことになれば、それはいったいどんなときだろうと。


コトの大小はヒトによってちがうとおもうのです。
たとえばどこそこの男を連れてきていきなりそいつに「お父さん」と呼ばれても全然問題ないのです。ぼくは。
そいつがいいやつだったらね。わかってるやつだったらね。
なにをして“いい”のか“わかってるのか”はおれにしか判断できないので、なんとも言えないのです。
おれにしか判断できないのだったらなんとか言えっつーハナシです。
それよかもっと具体的に「おまえをそんな(以下略)」なのは、
「あたし落ちてるもん食べらんなーい」って言われたときだなー。ショックだなー。
ふーして食えそんなもん。おれらが生きてるこの世界のほうがよっぽど汚れとるわ。空気も、場の空気も。
「おまえをそんなふうに育てたおぼえはない」



てな具合にいろいろとぼんやり考えていたのです。
その結果、現時点でおれが彼女に求めるものは、
エラいひとになることでも、いずれくるおれの“お世話”願いでもなく、
生き残る力を、SURVIVEする力を身につけていただきたい。
この一点に集約されることがわかりました。
見知らぬひとの輪の中で、処世の術を全開全開。
文化が異なれ言葉が違えど、たがいを尊重あっけらかん。
逆境が楽しみですと。転化・昇華できますと。
とにかくもう、こわれないで生き残っていただきたい。
ま、虫ぐらいは触れるようにな。ゴキ(中略)リからは逃げてもいいからさ。
おれも25歳まではムリだったからさ。