221kgの海と空

221kgは世界中の海と空で生息中です。でっかい世界のちっさな地図収集家。

 おことわリタ・ヘイワース

けっとばす

一昨年、去年と、やらせていただいていた仕事があるのです。
とある専門学校のパンフレットを製作するにあたり、社会で活躍している卒業生にお話を伺うお仕事なのです。
在学中はどんなんでしたかーなんでそこだったんですかー振り返ってみてなにが活きてますかー的なことをまとめるお仕事だったのです。
先日、「今年もお願いします」と、デザイン会社(の“一人社長”)から連絡があったのです。
去年から、この案件、ちょいと納得いかないことが多くって、いつかちゃんと言わなきゃなと思っていたのです。
だから言ったのです。まずは切り口として、“ご予算”について。


今年もお声がけいただきありがとうございます、と。
ちなみに今年も「1件5000円」というご予算に変わりはございませんか、と。
もしそうであれば正直に申し上げて厳しいです、と。
現場の仕切りから撮影補助までやってそれはどうなんですか、と。
あと、なんで交通費が自宅から現場ではなく“御社から現場”までなんですか、と。
御社都合をうちらに押しつけるのはどうかと思いますよ、と。
よろしくご検討ください、と。


今年っから単価が5倍にも10倍にもなりゃせんだろうから、やんわりお断りするために、ふんわり申し伝えたのです。
仕事内容そのものは好きな部類だったので、正直いくらでもよかったのです。
5000円ってなめくさった金額でも、まあスケジュールさえあえば小遣い稼ぎに出ますよこちとら、だ・け・ど、それならそれなりに義務を果たしていただきたい、権利ばかりを主張するんじゃねえゴルラァ、と言いたくなるお客さま陛下だったでありんすのです。
完成品(制作物)を送ってこず、ゲンコをウェブに勝手に転載し、現場のことをまったく見もしないくせに、「こっちの行き方の方が安いのでこっちで」って請求書の交通費に口を出すっておまえそもそもそのルートでおれは行ってねえっつんだよしかもこっちの方が安いって調べてみたら20円じゃねえかたまたまYahoo交通案内で上位に出てきたやつで請求立てたらそんなこと言い出すのかおまえはばーかばーかばーか、って昨年のそれを嗚呼思い出しながらメールを送ったのです。


そしたらね、かいつまんで言うとね、こんな感じです。


・予算上げるのは無理。
・てか本来撮影費しか(客から)もらえてない仕事だし。
・てか最初にお願いしたときライター見習い程度の報酬しか払えないと説明したはず。それで了承したはず。
・交通費に関しても説明したはず。それで了承したはず。
・でも2000円アップしたげる。他の人(カメラマンさん)には内密でよろ。
・てかライターとしての技量は求めてない。必要ない。
・現場の仕切りも頼んでない。必要ない。
・そういや去年やってもらった卒業生から「馴れ馴れしかった」って言われてたよ。


こんな感じです。
最後のはごめんなさい。不快感を与えてしまったのならその方本当にごめんなさい。いっこも気づかなかったうちが悪いです。謝ります。
つーことで──


対象者に不快な思いをさせてしまったことをいまのいまあなたに言われるまで気づかなかった私はまあなんと愚鈍でおぼこで唐変木なのでしょう。
しかも本来撮影費しか予算がないなかからわざわざ私めのために割いてくださっているというのにも関わらず。
このように多大なご迷惑をおかけしてしまったうえ、書き手としての個性をお求めでないということなので、今回に関してはご遠慮させていただきます。
今後ともなにとぞひとつどうかそれなりによろしくお願いいたします。敬具


と、ちゃんと丁寧に丁重に、声を荒げることも縦読みしたってFワードになることもないメールをお送りしましたよ。
ええ、もちろん返信なんてないですよ。くだらねえ。なんか言ってこいばーかばーか。
あまりに腹立たしかったので、仕事おっぽりだして(まあ大丈夫だろうと判断して)、『ショーシャンクの空に』を最後まで観ましたよと。


脱獄(がバレた)シーンと


ラストシーンです。


嫌な思いをしても人間ってのは忘れる生き物。
しんどいことがあったらとりあえず寝ちゃうって、ありだよ。大ありだよ。