221kgの海と空

221kgは世界中の海と空で生息中です。でっかい世界のちっさな地図収集家。

 『The Dark Knight Rises』

クリストファー・ノーラン監督による『バットマン』シリーズ3作目にして完結編。
ひと言でいうと、雑です。


ダークナイトライジン


すげえ雑。ノーランってこんなんだっけか。
よくいって“あっさり”という表現になるのだろうけれど、あらが見えてしょうがない。
こっちはね、あらを探してるんじゃないんだよ。勝手に見えてくるのだよ。
奇跡的な超名作だといわれ、おれも本当にそう思う前作『ダークナイト』にもきっとそういったあらはあった。でも、まったく気にならなかった。
信念や正義や悲哀や狂気が、バッツやデントやジョーカーやはたまたレイチェルからでさえ伝わってきたからだ。
今回、それがないから、あらってやつが自然と浮かび上がってきてしまうのだ。


その最たるところが悪玉の目的。
もろネタバレですが、タリアって真の悪玉の狙いは、ゴッサム・シティを一度ぶっこわして、浄化して、新たな世界を築こうぜっていう自分の父親の想いを叶えることだ。
なんてことを胸を張ってタリアやベインはいうのだけれどいいかい? ゴッサム・シティは、いま、平和なんだよ。ダークナイトからダークナイトライジングまでの8年間、なんでバットマンが表舞台に出てこなかったかって、デント法によってゴッサム・シティに平和が訪れたからなんだよ。ゴードンすら必要ないって話を警察幹部たちが冒頭でしているじゃないか。
つまり、今回の大筋のストーリーを形成する、前述の悪玉の目的ってやつが成立しないんだよ。


その他にもちょいちょい気になったところ。
ベースは某掲示板ですが、再確認するまでもなく9割方鑑賞中にぷぷぷーだった。

・唐突にベッドインするタリアとブルース
・迫力もなにもないベインとバットマンの対峙シーン → 特に群衆の中の殴り合いはひどい、超ひどい
・ギックリ腰の整体治療
・悲壮感ゼロの牢獄 → みんなアットホームな良い人達
・あっという間に完成する核爆弾
・フリークライマーなら誰でもいけそうな竪穴
・皆勤賞のキリアン・マーフィー(スケアクロウ
・悠長に発煙筒で橋にバットマンロゴ表示
・ブレイクに投げさせたけど、何の意味もなかった“5秒爆弾” → あれはホントにわかんなかった
・何事もなかったように地下からぞろぞろ出てくる警察官
・「え、俺登ってないヨ?」のベイン
・漫画みたいな死に方のタリア
・いままで本気でバットマンの正体わからなかったのかよゴードン → ここはマジで吹いた
・雑に引きずられる核爆弾
・間抜けなビジュアルのバットマン銅像建立
・アンゼたかし → 字幕ね


よくないトップ2はね、
さっき申し上げた、悪玉の目的が成立しないっていう点と、
3部作だっつってんのに、ダークナイトの最後でバットマンがデントの罪を被ったって展開がライジングで一切活かされてないところです。


でもね、おれは好きだ。大好きだよ、ダークナイトライジング。
上映期間に間に合えばもう一度、地上波でやったら確実に観るよ。
ダークナイトが9点だとしたら、ライジングは6点だよ。2点とか3点じゃないよ。
だから残念なんだよ。