221kgの海と空

221kgは世界中の海と空で生息中です。でっかい世界のちっさな地図収集家。

 真鍋、保坂、裕子&鉱一

奪取(上) (講談社文庫)

奪取(上) (講談社文庫)

奪取(下) (講談社文庫)

奪取(下) (講談社文庫)

こいつはなかなか読みごたえがあります。紙のつくり方、印刷技術の専門知識がかなりディープに散りばめられているのです。なぜなら偽札をつくるからです。
偽札ってすごいよな。だってお金そのものをつくっちまうんだよ? お店を襲うとか、刃物を突きつけるとか、バールのようなものでこじあけるわけじゃないんだぜ?
つくる過程のリアリティは、「おいおい作者さん、そこまで真実味があるとK察にマークされやしないかい」なんて心配をこちらが勝手にしちゃうぐらい。逃走劇や舞台設定はいざしらず、お札のつくりかたに関してはホントすごい。
しかし、エピローグに書かれている、『奪取』というこの物語と「真保裕一」というペンネームを絡めたエピソードは蛇足かと。
でも作者いいこと言った。
「自分に与えられた役割を、誰の手も借りずに果たせて、初めてプロって言えるんだぜ」とな。
ぐうの音も出ません。ぐう。