- 作者: 南木佳士
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1989/02/25
- メディア: 単行本
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タイ・カンボジアで難民医療活動に参加した医師。帰国後もその当時の記憶をフラッシュバックさせ、今の自分の状況と交差する物語。冬の厳しさ、葉を落とした木々に囲まれ、山間を流れる川がよく似合う。
一冊を通してのテーマは「死」。
“英雄と呼ばれる人たちが成し遂げた偉業そのものよりも、その英雄たちが現在は死んでいるという現実に興味を持った”というようなくだりが本中にあったが、その一文に激しく共感。
順番をつけて比べられるものではないが、人はその順序を決められない。
人の死をテーマにしたこれほど美しい物語、美しい情景が浮かんでくる物語を、ぼくはいままで読んだことがない。