221kgの海と空

221kgは世界中の海と空で生息中です。でっかい世界のちっさな地図収集家。

マボロシ作家──だから幻冬舎の秘蔵っ子か?

イノセントワールド桜井亜美『イノセントワールド』
デビュー作。売春、近親相姦、レイプと一時期の社会現象を表しているなぁと一気に最後まで読んでみるとあらびっくり。社会学者・宮台真司があとがきなんて書いているじゃない。っていうか調べてみるとデキているらしいじゃない。っていうか桜井亜美速水由紀子だったの??? マジで? 恥ずかしながらかなり驚きの夕飯時でした。
絶対、桜井亜美を女子高生作家(当時)だと思っている人はいまだにかなりいると思う。
そして続けて同時に読んだのは、母親殺しから結婚詐欺まで幅広くこなす『FIREFLY』。写真は蜷川実花が撮っている。というか桜井亜美の小説って、“ひとめで蜷川実花のものだとわかる蜷川実花の写真”がよく似合う。写真そのものの良し悪しはわからないけれど、とてもよく似合うと胸を張っていえる。FIREFLY (幻冬舎文庫)
そして仮説。この『FIREFLY』なんすけど、日本語で“ホタル”って意味なのね。普通に考えれば「悪さをしてきて、結局逮捕をされる前の最後の瞬間に愛する人(本中では春霞)ができ……」ってところからインスパイアされたと思ったの。
でもね、ふと思ったんだね。主人公ユリアと一緒に悪さをする仲間のひとりは超がつくほどのペンギン好きで、稼いだ金を野生動物保護団体に寄付するようなやつ。で、あるとき彼のもらしたひと言、『この仕事を最後にフィリップ島に行って、ペンギンと一緒に暮らす……』。
フィリップ島ってのは豪州メルボルン近郊にある野生のペンギンを観察できる島。そしてメルボルン近辺を連結している高速バス会社の名前が「FIREFLY」なのだ! 僕も移動の際には世話になった。
う〜ん、だからどうしたと言われてもね。他の作品も読んでみようと思う作家さんです。おじさん若い子の話についていけなくなっちゃうからね。あぁ、若い子は小説を読まないか。そうか。