ぼくにとっての松田優作体験は、ぶっちゃけ『太陽にほえろ!』と『ブラック・レイン』のみです。たしか。
ゆえにとても素直にこの作品と向き合えた、とおもっています。たとえiws氏やtkb氏が大絶賛していても、前知識・先入観・感情移入が皆無に近いので。
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戦地を渡り歩いた通信社の元カメラマンが、翻訳の仕事に身を隠しながら、一匹の野獣となって、管理社会の安穏とした生活に犯罪で挑む姿を描く……。
迫力はある。たしかにある。
追いすがる刑事(室田日出男)に、海外版「浦島太郎」ともいわれるリップ・ヴァン・ウィンクルの話をしはじめた松田優作はとても怖いである。
これです。
一見の価値はある。
おれ的には鹿賀丈史の登場シーンとおなじくらい怖い。レストランのボーイ役に恐怖心をいだかせる映画って他にない。
いやおもしろいですよ。精神世界だの夢オチ(っぽい)ストーリーが意外だっただけであって。
“伊達邦彦”を演じるために奥歯を4本抜いたとか、背が高すぎるからってカカトを削ろうとしたとか、そういう撮影秘話を耳にするとさ、もっともーーっとハードなボイルドの作品かとおもっていたのです。
ところが案外ネクラポンチだったからさ、意外だったわけ。膝小僧かかえて部屋の片隅でクラシック爆音的な。まさにでしたけれども。