221kgの海と空

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リアルな老後

母のいる場所―シルバーヴィラ向山物語 (文春文庫)久田恵『母のいる場所―シルバーヴィラ向山物語』
老人ホームではなく、“高齢者専用長期滞在ホテル”のシルバーヴィラ向山。
ふと思う。奥さんが自分の力で生活ができなくなり、僕が介護をすることになったとき、さあどうするか。“家の外では義務と責任をきっちりと果たし、自分の家は食事と就寝をする場所”というサラリーマン的思考の筆者のお父さんは、毎日やるべき仕事、行くべきところが必要だったそうな。つまり、奥さんの介護を、退職後の自分に与えられた“やるべきこと”としていた。
僕も「おわかりにならなくなった」おばあちゃんとずっと一緒に住んでいた。「おわかりにならない」もんだから、誰かが一緒にいないと、ふらふら外に出たり、台所でなにかつまんでしまったり、叫んだりしてしまったときに対応ができない。家族全員で──昼間はほとんど母親が一緒にいたわけだが──助けあいながらおばあちゃんの世話をしていた。
この本は前述のシルバーヴィラ向山に入居した筆者の母親を、娘の視点から描いたノンフィクション。こういう場所で最後を迎えるのもいいもんかな、と26歳にして真剣に考える。
ちなみに久田恵さんはうちの母親の同級生。この本にも数行「ガーデニング好きの友人」としておふくろが登場している。やれやれ。